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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

「ジゼル様。お願いがあります。どうか私を彼の──レオの傍にいさせてください!」
アリエッタの望みはレオと共に過ごすこと。幸福も苦難も共にし、共に年を重ね、手を取り合い共に歩み、死が二人を別つときまで──否、死が訪れても同じ墓に入り、魂になっても彼と共にいたい。それだけだ。
「サイラスに王位をとおっしゃるのでしたら、それでも構いません。皆を私が説得してみせます。でも彼だけは……レオだけは駄目なんです。レオがあなたを愛していても、あなたがレオを愛していても、どうしても私、彼を諦められないんです」
惨めったらしく縋りついてでもレオの傍から離れたくない。詰られても、罵られても自分から手を放したくないのだ。
欲しいものを欲しいと口にするのはとても勇気がいる。今までそうしてこなかったアリエッタなら尚更だ。
「お願いです。お赦しいただけないかもしれませんが……私、彼を愛しているんです」
身勝手な頼みだと承知していても、頭を下げるしか方法がなく。
零れ落ちそうになる涙を堪え、深々と腰を折っていれば。
「……て、もうやめてください!」
悲鳴に近いジゼルの声に、アリエッタの肩が跳ねた。
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