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隠匿シリーズ☆番外編
第5章 騒動の行方

ほとんど無言のまま、馬車の中でレオと向かい合って揺られる。なにか言わなきゃ、話しかけなきゃと思考を巡らせるも、この数日間、彼にしてしまったことを思い返すと言葉が喉で止まってしまう。
ジゼルの口振りから察するに、レオと彼女はなんの関係もなかったことが窺えた。最初に嘘の情報を与えられたとはいえ、きちんとレオの話を聞いていれば、と浅はかさを後悔する。
レオはカーテンで閉じられた窓を眺めるばかりで、怒っているのか呆れているのかも表情からは読み取れず。アッシュブラン邸に着くまで、アリエッタは彼に話しかける機会すら掴めないまま二人の部屋に入ることになった。
「レ、オ……? きゃあ!」
途端、手首を掴まれ寝室へ引き摺られるように連れて来られ、乱暴に寝台の上に放り出される。
弾力のある寝台で微かに跳ねるアリエッタにレオは跨ると、頤〈オトガイ〉を強く指で挟まれ上向かされる。
ずいっと寄ってきたレオの琥珀色の双眸に少し怯えた自身の姿が映り込む。
「あの、レオ……」
「“ごめんなさい”か? それとも“私が間違ってました”か? どちらも聞きたくないな」
言おうとした言葉を先に塞がれただけでなく、冷たく突き放され、アリエッタは唇を噛んだ。
ジゼルやサイラスの件は誤解が解けた。だがレオを傷付けた事実は変わらない。謝ることも許されないならどうすればいいのか。
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