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隠匿シリーズ☆番外編
第7章 その代償は
「お帰りなさい。……呑んでらしたの?」
髪に口づけられ、香ってくる酒の匂いに不安が増す。結婚して以来、彼が外で呑んでくることなどなかったからだ。
「ええ、少しだけ。明日はお休みをいただいたので」
「そう、ですか……。じゃあゆっくりできますね」
早く謝りたいが、周囲には使用人もおり、寝室に行くまではと自制する。
頷く彼は、休みだというのにあまり嬉しそうではない。もしやまたセドリックから何か言われたのだろうか。
リンゼイは逸る気持ちを抑えてつつ、彼と自室に向かうが、ジョシュアが入浴をするというので、なかなか謝罪する機会が巡って来ない。
「先に寝てていいですよ」
上着を脱ぐ彼に言われるが「待っています」と伝える。
言いたいことも訊きたいことも山ほどあるが、それよりも少し呑んできたというわりに、漂ってくる酒の匂いは少量のものではなく、彼の様子が気になり、眠るどころではない。
ソファーに座り待っていると、入浴を済ませたジョシュアが浴室から出てきて、まだ乾ききっていない髪やシャツから覗く首筋や鎖骨にトクンと胸が鳴る。
ときめいている場合ではないのに、凄艶〈セイエン〉な姿につい鼓動が速まってしまうのだ。
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