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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に
それならば医師を派遣するとレオは領主に言ったが、医師はすでに手配してあると言われ。その場は結局引き下がるしかなかった。
領主の邸を出たあと、ジョシュアの予想通りレオは村にひっそりと潜入すると言い出した。
だが、もしも領主の言っていることが真実で、病が流行っていたのならばレオの身が危険に晒される。ジョシュアは当然反対した。潜入ならば自分がするからと。
付き従っていた兵のひとりと潜入の算段をつけていると、いつの間にかレオの姿はなかった。『心配するな、すぐ戻る』とメモを残して。
焦ったジョシュアはすぐさまレオを追った。その焦りが失敗を生んだ。村の見張りに見付かり、潜入が困難になってしまったのだ。
そうなると、すでに村に入っただろうレオが出るのが難しくなる。後を追って入れないならば、見張りを引き付けるしかジョシュアの出来ることはなくなった。
暫くしてレオが戻ってきた。彼の顔を見たとき、どれだけ安堵したことか。だが安堵が過ぎ去ると、怒りが込み上げてきた。
レオはなぜ自ら危険に飛び込むような真似をしたのだ、と。怒りに任せて説教をしてやろうとした。
しかし──出来なかった。
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