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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




 執務室でレオと二人きりになり、今度はジョシュアが執務机の前に立つ。気まずくてレオと眼を合わせられない。


「……ジョシュア」


「はい……」


 重苦しく呼ばれ、ジョシュアも重苦しく返事を返す。


「お前の教育はどうなってるんだ? 俺に解るように説明してくれないか」


 この笑顔が恐ろしい。怒鳴ってくれたほうが楽とさえ思える。


「流石に性癖までは変えようがなく、あのような事態に……」


「あいつが男色なのは知ってた。お前も知ってたろ。だから俺にあいつの矛先を向けないようにするのがお前の仕事じゃないのか!?」


「そんな無茶な」


「だったら俺の代わりにお前が撫でさせてやれ」


「それだけは御免こうむります」


 男に尻を撫でられるだなんて、想像するのも嫌だ。ジョシュアはレオに負けじと冷気を放つ。


 互いに睨み合っていたが、先に視線を外したのはレオだった。彼は机に肘をついて頭を抱え込む。


「……どうするんですか。ディランをこのまま執事にされるのでしたら、性癖を除いた教育は続けますが」


「いや……、あいつはもう無理だろ。背後に立たれるのはちょっと……」


 弱り切った声でレオは項垂れる。確かにジョシュアも教育の最中、ディランに背後に立たれて、幾度となく危機を覚えたものだ。しかも近距離で立たれると、少し興奮気味の鼻息がかかり、寒気さえした。







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