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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
第二の理由はアリエッタにあった。
母の溺愛っぷりに、困ったことにアリエッタはまんざらでもないのだ。
家族との関係が希薄だった彼女は、血の繋がりはなくとも母がこうも甲斐甲斐しく世話を焼き、色々な場所に連れて行き、お喋りの時間をもうけてくれる。
それが嬉しくて堪らないのだ。
ザキファス邸から殆ど外へと出ず、知り合いらしい知り合いも限定されきた彼女は、見るものや出逢う人々のすべてが新鮮で。
母と出掛けたことを嬉しそうに報告するアリエッタを見ていると、止めるわけにもいかない。
アリエッタの幸せそうな顔は、レオにとっても幸せなことで。
ただ出来るなら、自身がさせられるのが一番いいのではあるが。
「そろそろ準備して行きましょうか。レオ、お留守番よろしくね」
「行ってきます」
と、二人で出掛けるのを黙って見送るしかない現状に、レオはそろそろ我慢の限界がこようとしていた。
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