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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
父が母に弱いのは今に始まったことではない。
父が若い時分、母に惚れ込み口説き落とし。二十年以上経って尚、母を心から愛していて。
愛するからこそ願いをなんでも叶えてやりたいと思うのは、同じ男として父の気持ちも解らなくはない。
そして母も父が自分の天真爛漫なところを好いているのだと解っていて。変わらないでいることが夫婦円満の秘訣だと考えているのだ。
「それで母上とアリエッタは今もヘンリー伯のところに?」
「なぜだ?」
「迎えに行くに決まってるでしょう」
「む、迎えに!? ま、待て。それは止めておいたほうが……」
父が慌てるのにレオは訝しんだが、はたと閃く。
「まさかとは思いますが……あそこですか?」
「あ、あそこ……とは?」
父の額に冷や汗が滲み、確信した。
「もう結構。私は行きますので、あとのことは頼みましたよ。なんせあそこに行けば、暫くは出られないでしょうから」
「レオ! 私一人に政務を押し付けるのか!?」
「では父上が行かれますか?」
「…………気を付けてな」
項垂れる父を置き、レオは気の進まぬところへと行くことにした。
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