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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
おそらくはこういうことだ。
レオが城を出立したあとだろう。母が祖父の体調を理由にアリエッタを伴い両親の元へと駆け付け。
レオもその祖父を見舞う名目で王城を離れていることにでもされたのだろう。──母の策略で。
「リタを責めないでやってくれないか。顔を見せて欲しいと頼んでいたのはワシたちなんだ」
「お爺さまたちが?」
「そうとも。お前たちの式以来逢ってなかっただろ? あのときもゆっくり話は出来なかったからな」
「でしたら私に言ってくだされば」
「お前は優しい子だ。言えばやるべき仕事を無理にでも詰め込み、終わらせてから来るだろ?」
確かにレオの性格上、そうするだろう。こんなことさえなければ、父に政務や執務を押し付けて駆け付けはしない。
「すまないな。可愛い孫の顔見たさに強引な手段を使ってしまって。リタもアリエッタさえ連れて来ればレオも来てくれるだろうと踏んでの行動だ。
ワシの体調のことは嘘だが、生い先短いのは本当のことだ。一度でも多く逢いたい気持ちを汲んでくれないか」
そう言われてしまうと言葉もない。母のこれまでの暴挙も、もしかするとこの日のためだったのかもしれない。
アリエッタと過ごす時間を減らされ、やきもきしたレオが何日も引き離されると知れば、必ず駆け付けるだろうと読んだからで。
両親の願いを叶えるため──レオをマーシャル邸に呼び寄せるためだったのか。
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