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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔
「あー、ほら。もう大丈夫だぞ」
半泣きで失神しかかっているアリエッタを宥めるレオ。
つい今しがたまでキッシュに笑顔で制裁を加えていた人物と同一とは思えないほど甘やかな声色で。
よしよし、と幼子を宥めるがの如くアリエッタの背を擦るレオを、割れるような痛みがあった頭を押さえ、キッシュは恨めしそうにねめつける。
「レオぉ……」
情けない声を出して恐怖を引き摺るアリエッタはキッシュが受けた制裁は意識の外だったようだ。
「ん? なにがあったんだ?」
「あのね、街でね……亡霊がね……」
恐怖のためか微妙に幼児返りしているアリエッタがたどたどしく説明する。
(てゆーか、レオ様! よく知りもしないで僕の頭潰したの!?)
キッシュもまた痛みを引き摺り、レオをじっとりと見詰める。
アリエッタとナキラに巷で噂になっている女の亡霊の話をし、恐怖に引き込んだのはキッシュだが。
最終的にとどめを刺したのは不意に声をかけたレオなのに、頭部破壊されるなんて心外だと、さも怯える女性を助け出した救世主のような顔をするレオをキッシュは恨めしいのだ。
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