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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

「おい、慌てるな。食べ物ならまだある。そんなに慌てると喉に詰まるぞ」
隣から声が聴こえたと同時、キッシュは咳き込んだ。
「ほら言わんこっちゃない。水を呑め」
スッと差し出された見覚えのあるコップ。キッシュは注がれた水を一気に呑み込み、そこでようやく我に返り、差し出す人物を見遣った。
そこには見たことのない青年がキッシュの家にいた。いや、見たことのないのは人物だけでなく、その容姿もこれほど美しい人をキッシュは知らない。
月色の髪に琥珀色の双眸。通った鼻梁に陶磁のようなすべらかな肌。
着ているものは大して綺麗でないのに、気品に溢れ、薄暗い部屋の中でも眩い光を放っているようだった。
「だ……れ?」
絞り出したキッシュの声に彼は苦笑する。
「今さらか。まあ、いい。俺が誰かより、まずは空腹を満たせ。今度はゆっくり食べるんだぞ」
そう言って彼は麻の袋から次のパンを取り出し、ハムまでもが出てきて。ナイフで器用に薄く切ると、パンの上に乗せて渡してきた。
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