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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔
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夜の帳が降りた城下をレオとジョシュアと共にキッシュは徘徊する。
(あの頃からそうだけど、レオ様って強引っていうか、人の嫌がること愉しんでない!?)
村を、キッシュを救ってくれたのには心から感謝している。普段は気恥ずかしくて、口にはしないけれども。
しかしレオという人は知れば知るほど解らなくなる変な人──というのが目下の印象だ。
人気がなく不穏な空気さえ纏う街並みを、平然と歩く心境は如何なものなのか。
まるで、ちょっとそこまで散歩にきた、とでも言いたげなレオの背中。
腰に携える剣がなければ、まるでではなく本当に散歩だ。
「さぁて、どんな美人に逢えるんだろうな」
と、女の亡霊がよく目撃される橋が見えてきたところで、気軽な口調で言う。
「アリエッタ様に言いつけますよ」
キッシュがぼそりと漏らすと、肩口を震わせて笑っている。
「それは亡霊よりよっぽど怖いな」
アリエッタに嫌われたら生きていけない、と冗談めかして話すレオ。
この状況で堂々とのろけられる彼の肝はどこまで据わっているのだろうか。
キッシュはすぐにでも邸に引き返したい気持ちでいっぱいなのに。
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