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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔
橋に差し掛かると、恐怖は最高潮だ。
心臓がばくばくと打ち、口から飛び出そうだ。
レオは石造りの緩やかなカーブを描く橋を歩いていくのを、キッシュはおどおどしながらあとを着いていく。──と。
「……ねぇ」
突然背後から女の声がし、キッシュは飛び上がった。心臓は破裂しそう……もしかすると亀裂くらいは入ったかもしれない。
恐る恐る振り返る。そこには白い薄手のドレスを纏い、ずぶ濡れになっている女が月明かりを受けて立っていた。
「ぎゃあぁぁぁぁっ! で、で、で……出たぁっ!」
キッシュは腰を抜かし、地面にへたりこみ、悲鳴が辺りに木霊する。
「おお、本当にいるんだな」
そこに暢気なレオの声が重なった。
(な、なんで平然としてるんだよぉ!)
歯の根が合わないキッシュはレオを見上げて、心の中で訴えるしかなく。
「けど、アリエッタのほうが美人だな。そう思うだろ?」
「レオ様。お気持ちはわかりますが、あとで存分に感想は聞きますので、まずは彼女をどうにかしないと」
ジョシュアまでも平然としていて。
怯える自分がおかしいのか、彼らの神経がどうかしているのか疑いたくなる。
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