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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔
「……ねぇ、あなた……。私と一緒に逝ってくれない?」
女は青白く、生きてる人間なら必ずある足は透け。どこからどう見ても亡霊だ。
その彼女は腰を抜かすキッシュを通り過ぎ、レオを一点に見据えている。その瞳に光はなく、底冷えするような眼差しだ。
「お前が噂の亡霊だな? お前の被害にあった男たちがあとを絶たず困ってるんだ。そこでお前には消えてもらうことにした」
レオは女に取り合わず、腰の剣を抜く。
「なあ、これがなにかわかるか? ただの剣ではない。純銀製で、祝福を受けた聖水で研き上げた剣だ。司祭の話じゃ、悪魔祓いにも使われる品を二つ使ってある」
レオは切っ先を女に向ける。
「お前が斬れるかどうか……試してみる価値はありそうなものだ。けどなぁ。死人と言えど、女を斬るのは忍びない。黙ってお前のいるべき場所へ行くなら良し。だがそうしないなら……切れ味を味わってみるか?」
キッシュは女にではなく、そう告げるレオに怯える。
亡霊を脅しつけるレオは普段見せるような彼ではなく。
獲物を捕らえようとしている獣そのもので。
ギラリと光るレオの双眸からは、彼が隠し持つ獰猛さが窺えた。
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