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隠匿シリーズ☆番外編
第4章 女たちの反乱
「あの、私……ダンスのレッスンが……」
車中で遠慮がちに王妃に言う。
「いいのよ、そんなもの。あとから私が上手く取りなしておくから」
それでいいのだろうか。しかし王妃がそう言うのだから、従うしかない。それにもう馬車に乗ってしまっている。
「どこへ向かわれてるんですか」
「妻の家出といったら相場は決まってるわよ」
「じゃあ、お義母さまのご実家に……?」
「うふふー。さぁねぇ」
思わせ振りに王妃は笑ったっきり、行き先は教えてくれなかった。
そしてマーシャル邸にしては随分と早く馬車が緩やかに停車する。
馭者が扉を開け、そこにはとても見覚えのある邸──ザキファス邸が正面にそびえていた。
「ここって……え?」
「だから“妻”の実家でしょ?」
それはそうだけども。自分の実家に来るとは夢にも思っておらず、困惑を浮かべるアリエッタに構わず王妃は母を呼ぶよう使用人に伝えた。
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