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透明な黒
第2章 マリ
放課後……。
なにやら正門の辺りで人だかりが出来ている。
「……?」
ネコの死体でもあんのか?
そう思いながら烈は人だかりに目をやる。
…………!!!!!!!
正門前で人だかりを作っていたのは
ネコの死体なんかではなく、マリだった。
人だかりといっても、皆マリを遠巻きで見て
囁くように話しているだけだが。
大体、内容の予想はつく。
正門前に立つマリはその容姿から
確かな存在感を放っていた。
俺はマリを見すぎた。
「……!!あっ、烈!」
なんとマリと視線があってしまった。
「なんでいんの?」
言葉こそ冷静を保つが、内心穏やかではない。
人だかりの声が手に取るようにわかる。
えっ?彼氏?
まさか。あんな可愛い子だよ?
ってか、あの制服どこ高?めっちゃ可愛くね?
「烈~!早く早く!待ってたよ?」
大きく手をブンブン振り回すから
制服からお腹がちらちら見えた。
「何の用?」
「また会おうって言ったでしょ。」
「いや、そうだけどさ。」
「会いたかった。」
ヒューっと誰かの口笛。
そりゃそうだ。
会いたかったなんてセリフを人前で
言ったらカップルだと思われる。
とにかくここじゃ変な噂立つし……
「烈?」
俺はそのままマリの腕を掴んで
駆け出した。
「あっ、ちょっと烈、早いよ!」
マリが息を切らしながら懸命に
ついてくる。
このへんまでくれば平気だろう……。
「何の用なの?」
「私は烈に会いたくて。」
はぁはぁと息こそ切らしているが
顔は余裕と言わんばかりだった。
「あんな風に学校に来られたら迷惑なんだけど。」
「……だめ?」
おいおいおい……
そんな上目遣いで見てくんなよ……。