パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 催眠術

「まずは、体験してみようか。そうすれば僕の言っている意味が分かるよ」
神内は名刺を取り出した。

「昨日みたいに、名刺のマークを見て。ジーっと見つめて」
僕は言われた通りにする。

「ジーっと見ていると、周りの景色がだんだんとボヤけてくるね」
神内の言葉通り、名刺に書かれた文字がボヤけ、マークだけがクッキリと浮かび上がってくる。

「ジーっと見つめていると、周りの音がだんだんと小さくなって、僕の声しか聞こえなくなってくるよ」
神内の声が頭の中に染み込んでくる。

「だんだんと瞼が重たくなってくる。だんだんと瞼が重たくなって、ゆっくりと降りてくる。ゆっくりと。ゆっくりと」
僕の瞼がピクピクと痙攣を始めた。

「ゆっくりと。ゆっくりと瞼が降りてくる」
僕の瞼がピクピクしながら、意思とは別にゆっくりと閉じていく。

「瞼がピッタリと閉じて、もう開かない。あなたの瞼はもう開かない」
暗闇の中、神内の声だけが頭の中に響く。

「あなたの瞼は、どんなに頑張っても、開きません。やってみてください」
僕は眼の周りの筋肉に力を入れるが瞼はピクリとも動かない。
まるで強力瞬間接着剤で貼り合わされたようだ。

「あなたは今、催眠状態にいます。これから僕が10数えます。数が1つ進む度に、あなたは深い催眠状態に降りていきます。数が1つ進む度に、身体から力が抜けていき、頭の中に白い靄が立ち込めていきます」

神内の言葉が身体中に染み込んでくる。

「数が10まで進むと、あなたの頭の中は白い靄で充たされ、何も考えることができなくなります」

そうなんだ。数が10まで進むと、頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなるんだ…

僕は自然に神内の言葉を受け入れる。

「さあ、数えます。1…2…」
神内が言ったように身体から力が抜けていく。

「3…4…」
頭の中が白くなっていく。
フワフワと空中に浮かんでいるような感覚だ。

「…8…9…10」
頭の中が真っ白になった。