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仔猫と狼
第2章 その一言が
ブランコに揺られてどれくらい経っただろうか。
空が段々と茜色に染まりだした。
昼と夜
光の闇が交わる時間。
子供を迎えにくる親を見て、いつも妬ましかった。
愛されていることをひけらかされているような気がして。
だから…私が一番嫌いな空だ。
『寂しいだけなんだろ?…独りでいることが!だったら…、泣けよ…叫べよ!助けを求めて手を伸ばせよ!…俺が…俺がその手を掴んでみせるから…。頼むよ…。』
「…⁉︎」
突然聞こえた言葉にびっくりした。
慌てて周りを見回すと、少し離れたベンチの側に立つ男が見えた。
その男は、左手に薄いノートの様な物を持ち、泣いていた。
夕陽に照らされたその姿がとても寂しげで温かいと感じた。
ー寂しいだけなんだろ?
ー叫べよ!助けを求めて手を伸ばせよ!
その男の言葉が心に沁みた…
そして…
私は、初めて大声で泣いた。