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仔猫と狼
第12章 微妙
聞き方を間違えた。
これじゃあ、好みをきいてるようなもんじゃないか。
「あ…、いや…。どんな服が女性受けがいい?」
「女性受けのいい服装ですか?」
これも、失敗か?
なんて言ったら、いいんだよ。
「鳥居さんは、ゆったりしたシンプル目の服装が多いと思います。なので、女性受けを狙うならアイテムを一点春らしいカラーのさくら色や若草色など入れてみてはいかがでしょうか。」
言葉を悩んでいると、又しても事務的な言葉で冷静な返答が返ってきた。
「お、そうか…。」
「では、大変申し訳有りませんがそろそろ午後の授業が始まりますので、失礼します。学校が終わりましたら都内のスタジオに向かいますので。」
「あ、ああ。」
「本日のスケジュールは大丈夫ですよね。」
「ああ。」
「それでは、失礼します。」
プツンと電話が切れる。
ゆったりとしていたのに、どこかまくしたてるような雰囲気で通話は終了した。
「…。」
なぜだろうか。
少し、胸がすーすーする気がする。