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仔猫と狼
第13章 距離
ベッドで横になり寝ようとした。
しかし、いくら目を閉じても一向に眠ることができない。
こう、もやもやしたものが渦巻いているような…。
しばらく考えてみてもよく分からない。
携帯をひらいて特に用もないアプリを立ち上げたりしてみる。
そして、メールボックスを開いてみた。
そこには今まで仕事柄絡んできた人とのやりとりがたくさん残っている。
そして、アニメスタッフや編集者、後輩からの感謝の言葉が並んでいた。
俺は感謝されるほど綺麗じゃない。
ありがとうなんて…。
「あ。」
その時よく分からないもやもやの一つがわかった気がする。
今まで嘘でも感謝の言葉を相手に吐いていた。
自分が感謝の言葉を言われた時の罪悪感を減らすために。
それなのに、今日片岡に嘘でもいいのに感謝の言葉を送らなかった。
いつもと違う自分の行動にもやもやしていたのか。
そうだと自分に言い聞かせ、片岡に送る新規メールを開く。