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仔猫と狼
第14章 進行
高瀬に抱きつかれた片岡が下を向いた。
あいつなんか言われたのか…?
調子が出ないからという名目で、片岡と関わることを暫く避けたのに目の前の片岡の様子が気になって仕方がない。
ん?
名目…?
調子がでないのが理由だろ?
自分が思ってるつもりと、自然とでた思考のずれに違和感を覚えつつも、片岡と高瀬を離そうと座っていた場所から立ち上がる。
「高瀬さん、そろそろ離してくれない?」
俺が片岡の片岡に手を置きながらそう言うと、高瀬はあっさりと片岡の腰から手を離した。
高瀬は掛かったと言いたげにニヤリと笑いながら俺をからかった。
自分でも分からないことを他人にからかわれるのは不愉快だ。
それが、結城さんに気づかれたのか、結城さんが助け船をだしてくれた。
話題の矛先が変わり、音声監督が笑い出す。
それにホッとしたのか、緊張気味だった片岡の肩から強張った感じが消えた。
と同時に、片岡の身体がピクリとする。
そして、俺のことを見上げたのだ。
どこか嬉しそうで申し訳なさそうな表情をする片岡をみて、なぜか懐かしいような気がした。
その純粋な瞳でこれ以上俺を見られたくないと妙な感覚を覚え、撫でるように片岡の視線から逃れた。