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仔猫と狼
第15章 足音
監督の言葉は、売れっ子なんてもてはやされてる今の俺にも大きな衝撃となって刺さってきた。
それがわかっているのか監督は俺と目があるとしてやったり顏をした。
「鳥居君。」
言葉も出てこず、動くこともできない。
そんな俺の後ろに結城さんが呼びかけた。
「なんですか?結城さん。」
「いやぁ、片岡ちゃんを監督に取られて拗ねている後ろ姿がかわいそうに思えてね。」
俺をからかう口調にイラっとする。
しかし、結城さんに声をかけてもらったことで変な思考に走らないで入られた。
「なに、わけわかんないこと言っているんすか。」
「あははははは、僕の見間違いだったかな。」
そんなやりとりをしていると監督が混ざってくる。
「君の片岡ちゃんを取るつもりはないから安心したまえよ。」
「はぁ、監督まで悪ノリするのやめてくださいよ。」
「ははは。まぁ、取る気はないけど、期待しているよ。」
「片岡にですか?」
「あの子もだが、あの子が君に及ぼす影響でどう変わるかだよ。」