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仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる
私なんかがわがままなことを願ったバチが当たったのかもしれない。
「っ…。」
私には幸福なんて似合わない…。
そう、幸福感なんて長続きしないのだ。
うなされてる鳥居さんが目を開いたと思ったら突き飛ばされた。
背中が痛い。
多分、机にぶつけたのだろう。
痛みより目の前の怯えるような目をする彼に私は惹かれた。
「あの…。」
「すまん。」
目が覚めたのか焦点があった目と目があった途端気まずそうに謝られた。
「いえ…。」
しばらくの間。
鳥居さんはこちらを見てくれないが、私は瞬きを忘れ鳥居さんを見つめ続けた。
私の視線が迷惑だったのだろう、こちらを見ることなく立ち上がる。
「昨日もすまなかった。洋服もダメにしちまったし…。」