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仔猫と狼
第17章 素直になること
「それで、私にも説明をしてくれないか?」
お父さんは、私ではなく鳥居さんに向かって聞いた。
「お父さん、鳥居さんは…!」
「美鈴、私はいま鳥居さんに聞いているんだよ。」
私が話そうとすると父さんは私の言葉を遮り、鳥居さんに向き直した。
私は不安になり、鳥居さんを見る。
その顔に浮かぶ表情は、今の私にはよくわからなかった。
「まず、美鈴さんのご両親の信頼を裏切ることをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。」
そう言い、鳥居さんはソファから立ち上がり深く頭を下げた。
「私たちは、なにがあったのかを知りたいのです。謝罪など後でいくらでも聞くことができますので。」
その声には、怒りが込められていた。
その怒りの方向が鳥居さんに向かってしまっていることがすごく申し訳なかった。