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仔猫と狼
第3章 伝えたいのに…
両親のゆったりとした空気に呑まれそうになる。



「あ…うん。おはよう…。って、そうじゃなくて。」



時間がないのよ。



「山田さんが来るまで、あと18分よ。」




そこに、のんびりとした声で現実を突きつける母の言葉。





「さっさと準備してこい。」




「う、うん…!」




父の声で、あわてて行動した。





残り13分…。




















「…はぁ。」





残り1分でなんとか身支度だけは、整えた。




「間に合ったわね。」





母の優しい声と笑っていない目に恐怖を感じる。





「そろそろか…。」





相も変わらず、父は新聞から目をそらさずに言う。





「お父さん、新聞が逆さですよ。」





「っ!?…ゴホン」





母の指摘に慌てて新聞を畳む父。






急いでたから、全然気が付かなかった…。





ピンポーン





10時1分



チャイムが鳴った。








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