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仔猫と狼
第3章 伝えたいのに…
ドアを開けたら、当たり前だが山田さんが立っていた。
「おはようございます。片岡さん。今日は、説明しやすいように彼を連れてきたんですよ。」
そして、山田さんの後ろにもう一人男性が立っていた。
「はじめまして。片岡美鈴さん。」
私は、驚きの余りドアノブから手を離し、一、二歩後ずさりしてしまった。
なぜなら。
その人は、私が人生で最も会いたくて、今最も会いたくない人だったからだ。
「鳥居…大…輔…さん…。」
「はい。」
閉まりかけたドアを止め、作り物の笑顔を貼り付け立っているその姿は、まさしくいつも画面越しに見ている鳥居さんだった。