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仔猫と狼
第1章 隣の家に
…………。
忘れていた。
隣に引っ越し屋がきていたことを。
多分、このチャイムは、隣に越してきた人の挨拶回りだろう。
正直、出たくない。
だが、このまま居留守が使えないことも分かっている。
どうするべきか…。
悩んでいると、もう一度チャイムがなった。
私は、覚悟を決めドアを開けた。
「…はい。」
そこに立っていたのは、スラリとした男性だった。
「あ、こんにちは。今日隣に越してきた山田です。よろしくお願いしますね。」
「は、はぁ…。片岡と申します。うちは両親が共働きでいないので、後ほど母に伝えておきます。」
「よろしくお願いします。」
早く帰ってくれないかな…。
「ところで、片岡さん。」
きたきた、世間話。
男の癖にそういうのするタイプか…。
「はい。」
「貴方、声優になりませんか?」
そうそう、どこのスーパーが安いとかでしょ?
そんなの私が知るわけないじゃないの。
…………って。
え?
「は??」
「ですから、片岡さんに是非うちの事務所で声優として働いてみないかと言う話です。」