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仔猫と狼
第5章 謎のもやもや
彼女は、カバンを拾ったくらいのことで、俺に深々と頭を下げた。
この程度のことで頭を下げられると思っていなかったから、驚いた。
そして、彼女の口から出た「そうですか。」の言葉に少しムカムカとした。
悪かったな、この年で彼女がいなくて。
だいたい、結婚願望はあるんだよ…。
「−さん…。」
だいたい、山田にこういうことさせられるからできねぇんだよ。
そうだよ、山田のせいで結婚できないんだ。
このまま行き遅れたら、山田に文句言ってやろう。
「鳥居さん!」
「っ!な、なんだ?」
俺を呼ぶ彼女の大きい声にびっくりした。
「いえ、ぼーっとなされていたので。大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。少し考え事をしていただけだ。」
「そうですか…。」
なぜか、彼女は少しくらい顔をした。