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仔猫と狼
第5章 謎のもやもや



あまりにも思い通りにいかないこの女にだいぶイライラしてきた。




さっきだってそうだ。




定番だが、車の助手席に乗せようとすると頑として拒否をしてきた。



「私は、マネージャーの補佐みたいなものですから。それに、ファンの皆様にも申し訳ないですから…。」っと、はっきり言われてしまった。






…くそ…。












…その女は今、後部座席で手帳をひたすら見ている。





その姿をバックミラーでちらちらと見ていたら、突然彼女の顔が青ざめ始めた。













「と…鳥居…さん…!!」








「どうした?」







できる限り、イライラしているのが伝わらないように返事をした。













「しゅ…収録の時間に30分も遅れています…!ごめんなさい…私のせいですよね…。」




それでも、イライラしているのが伝わってしまったようで、彼女は萎縮してしまった。







思い通りにいかない女のくせに…




さっきまでイライラしていたのに…




泣きそうなその姿に不覚にも触れたいと思ってしまった。





「あぁ、それなら問題ない。山田に連絡しといたから。」








「山田さんも忙しいのに…。みなさんに迷惑をかけてしまいました…。私のせいだ…。ごめんなさい…。」






今にも彼女の瞳から涙がこぼれそうだ…。







「…悪いのは俺だ…。お前じゃない…。」









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