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仔猫と狼
第6章 明らかな敵意
片岡に対しての高瀬の対応がさっきからひっかがっていた。
普段の高瀬は、声に反して、さっぱりした性格をしていて、誰に対しても礼儀正しい子だ。
それが、先ほどの片岡に挨拶していた時の高瀬の目は、獲物を狙う目をしている気がした。
片岡は、それに気がついているのか??
俺は、スタジオの端に座っていると言っていた片岡の方に視線を向けた。
「な…。」
なんと、片岡は結城と二人でいた。
ただ、それだけなのにどこかイライラした。
声をかけようと思い一歩踏み出した時、片岡の視線が高瀬に向けられた。
俺もおもわず、高瀬に視線を戻すと高瀬は不敵な笑みを浮かべていた。
その笑顔に背筋がぞくりとした。
「鳥居さん。」
呆然としていたら、いつの間にか高瀬が目の前に立っていた。
「鳥居さん。収録始まりますよ?」
「あ…あぁ。」
「行きましょう?」
動揺する俺を無視して、高瀬は腕を絡め収録部屋に俺をひっぱる。
そして、ふと立ち止まり。
「結城さんも、行きましょう?始まりますよ。片岡さんはそこに座って見ててくださいね。」
そう、片岡と結城に向かって言った。