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仔猫と狼
第6章 明らかな敵意
「だから、気にしなくていいんだ。今日は、ちゃんと間に合ってるし、感謝したいくらいだよ。それに、だいたい君は声優の世界を勉強するために彼のマネージャーアシスタントにしたんだ。彼の仕事ぶりや、ほかの声優さんの演技を見てよく勉強するんだよ。」
「はい…。」
そう言って、山田さんは怖いくらいの笑顔で私の頭をひと撫でしスタジオから出て行った。
そうだ…。
私は、勉強しにきたんだ。
何を思い上がっていたんだろう。
山田さんのような立派なマネージャーなわけじゃない。
アシスタントって名目上付いているだけで、ただの雑用係りで、足手まといなんだ…。
今、私がするべきことはマネージャーアシスタントの勉強をするんじゃなく、声優の世界を学び、そして声優として働けるようになることなんだ。
だから…高瀬さんに嫌われようと…、私は鳥居さんの姿を見て勉強をするんだ。