この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
仔猫と狼
第7章 突然やってきた
「別に俺に許可を取る必要性はないだろ。」
「…。」
「やりたきゃやればいい。声優になるかならないかはお前が決めることだ。」
どうせ、あの堅物がこいつを使うってことは試しているだけだ。
声を気に入ったというのは本当かもしれない。
だが、本当に使えるかは別だ。
ここで失敗して、使えなければおさらば、使えたら新人声優という面でこの作品に注目が集まる。
こいつが失敗したところで、あのおっさんに利があっても害はない。
そういうことだろう。
なら、今こいつがそのチャンスを掴もうとしているなら、俺が言うことはなにもない。
「…はい。」
俺の言葉に少し戸惑った表情をみせ、そして何かを決めたように返事をした。
そして、そいつは結城や高瀬に向かい深々と頭を下げた。
「皆さん、突然の参加になってしまい申し訳ありません。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、精一杯頑張りますのでよろしくおねがします。」
果たして、こいつはこのチャンスをものにできるのか。
なぜだか俺は、少しワクワクしていた…。