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仔猫と狼
第7章 突然やってきた
鳥居さんに許可をもらおうと声をかけたら、私の覚悟を聞かれた。
声優になるか決めるのはお前が決めろ。
チャンスを掴むかはお前次第だ。
…そう。
鳥居さんは、私に選ばせてくれた…。
ここに来て、流されているのではなく自分の意思で決めたのかと…。
その質問で、私ははっきりと自覚をした。
私が歩き始めたこの道は、私が自分の意思で歩まなくては進むことのできない道なのだと…。
鳥居さんは、再認識させてくれた。
少し冷たい言い方をされたのに、なぜだか感謝の他に嬉しいという思いもあった。
そして不思議なのが、鳥居さんの表情だ。
私が、改めて他の出演者様に挨拶をし顔を上げたら、かすかに笑っていたのだ。
なぜ、笑っていたのだろうか…?
何か失敗でもしてしまったのだろうか…?
私は、ずっと疑問を抱えたまま二回目のテストに参加した。