この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
仔猫と狼
第8章 勘違い
あぁ〜。面白いなぁ。
鳥居君があんなに表に感情を出すのって、彼がデビューした頃以来じゃないかな。
ってか、高瀬さんは、どういうつもりなんだろう。
てっきり彼女は男好きで、今回は鳥居君のことを狙っているのかと思っていたけど。
今は、行く予定の喫茶店が混んでいたため、代わりにファミレスに3人できている。
僕と高瀬さんが隣同士で彼女を覗き込むように座り、その目の前に怯える様子の片岡さんが座っている状態だ。
…この状態も面白いか。
「片岡さんは、なんで声優になろうと思ったの?」
僕は、彼女に疑問を投げかけた。
「えっと…。山田さんにスカウト…されたんです…。」
「へぇ〜。あの山田さんにスカウトされるんだったら、確かなのかもしれないわね。」
僕が質問したのに、高瀬さんに話しの主導権を奪われた。
「あ、あの…。ごめんなさい。どういう意味なんですか…?山田さんってそんなにすごい人なんですか…?」
業界に関わっている人間しか知るわけもない。
山田君は、原石を見つけるのが秀でて上手い。
しかし、その原石から綺麗な宝石に生まれ変われる子は少ない…。
なぜなら、彼はとても厳しい方法で原石を磨きあげるからだ。