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仔猫と狼
第8章 勘違い
「高瀬ちゃん、僕が聞いたんだよ〜。」
「結城さんがゆったりしてるのが悪いんだと思いますよ。」
今、高瀬ちゃんの表情が心なしか、柔らかくなった気がした。
お酒を飲んでいるとはいえさっきまで俺と普通に話していたし…。
高瀬ちゃんという人間がイマイチわからない…。
「ぶーぶー。」
「結城さん、いい大人なんですから。」
「僕先輩だぞ〜。」
「そうですね。センパイ。」
「えっと…あの…。」
高瀬ちゃんにダル絡みしていたら、片岡ちゃんがあせったようにわたわたしていた。
うん。かわいいな。
こりゃ、鳥居君に気に入られるのもわかる。
でも…。だからこそ、この世界には向いていない…。
可哀想だけどね…。
「片岡さんは、何か注文する?」
高瀬ちゃんは、僕をあっさり無視して片岡さんと会話を始めていた。
「いえ…。私、今日お金ないですし…。」
「それくらい、奢るわ。私が誘ったんだもの。」
「で、でも…。」
「私、あなたに話したいことがあるの…。だから、もう少し時間が欲しい…。いい…?」
高瀬ちゃんは、とても真面目な顔をしていた。
それは、演技をするときと同じように…。