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仔猫と狼
第9章 秘密
「片岡さん。」
笑いが収まらない僕を横目に高瀬ちゃんは、彼女の名前を呼んだ。
顔の熱は収まらないまま、片岡ちゃんは高瀬ちゃんの呼びかけに答えた。
その呼びかけののちに高瀬ちゃんが何を言うのか気が付いた僕は笑うのをやめた。
さすがに空気読めないわけじゃないし。
それに、彼女をみる高瀬ちゃんの目がどのようなものか…。
それが何を意味するか…。
鈍い人以外なら気がつく。
「片岡さん…。私ね…。」
「はい。」
「私…。」
横にいる僕までにやにや…いや、ドキドキする。
「あなたが好きなの。」
「…え?」
意味がわからないと言うように、片岡ちゃんは高瀬ちゃんの目を見つめ返した。
しばらく二人は見つめあったが、その静寂はあっさりと崩れる。
「いや〜ん。もう、照れる。」
さっきまでの真剣な顔とは違い、高瀬ちゃんは女の子の顔をした。
…主に、僕はさっきから無視されているんだけれどね!
そんなことは、お構いなしに高瀬ちゃんは言葉を続けた。