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仔猫と狼
第10章 知らない




こいつはなんなんだ。






調子が狂うっ…。






他人の前で泣く姿なんてもう何年も見せていなかったってのに…。






こいつは…、この女はなぜなにも聞かない!




なぜなにも言わないんだ!






いっそ聞いてくれた方が怒鳴り散らして家から追い出せたのに…。





なにも言わず俺の服の裾を強く掴みやがって。







なんなんだよ!










このまま、情けない男に同情して抱かれる女…なんて恋愛シミュレーションみたいなことにしてやろうか…。





そう思って倒れこんで身体に手を這わせたのに…、こいつは快感に耐える声を発するだけ…。












「…っつ!」








情けねぇ…。








泣きながら、こいつの声に勃っちまった…。









「ふっ…。」






俺がかすかに笑ったのに気がついてこいつは、少し反応した。







「おい。」




顔を上げずに、片岡を呼んだ。






「はい…。」




「これ、どうにかしてくれよ…。」







勃っちまったソレを片岡の手に触れさせる。







さすがに恥ずかしかったのか、片岡は息を飲んだ。





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