この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
電池切れ
第8章 50歳・・現実・・それでも
聞き取れなくて、その横顔をもう一度見た。
「もう・・立たないんだよ・・オレ・・」
「えっ?・・」
ぽかんとあいた口の奥、喉の奥がカラカラに乾いて
呼吸をしたらヒリヒリと痛んだ。
眼は、瞬きできず、乾燥してきた。
「あ・・え?・・それって・・」
・・立たない・・
その短い言葉を頭の中で反芻する。
それってもう・・
ダメってこと?
夫だけじゃない・・
悟までも・・?
「あのさ・・じゃあ奥さんとは?
それもだめなんてこと・・ないんでしょ?」
慰めかよ、と薄ら笑いを浮かべて
「かみさんとなんか、ずーっとしてないよ。
正直に言うと美月以外にも女がいた。
その女とはちょくちょくやってたけど・・
ここ1年くらいまったくダメで・・
逃げられちまったよ、
役立たずって怒鳴られて・・」
そう言って下を向く悟・・
私の眼にはだんだん涙さえたまってきた。
楽しみに・・
悟に抱かれるのを楽しみにしてきたのに・・
そんな・・