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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
「実はこの村近くの森の奥に小さな別荘小屋があってね。貴女のおばあ様は今そこで独り暮らししているのよ」
「! そう、だったの……私におばあ様がいたなんて」
驚きはしたけれど、家族がもう一人いたという事実はやはり嬉しい。
しかし、何故今まで黙っていたのか。
何となく理由が気になった。
「あの、でも……どうして今さら?」
「それはね……ニーナも16という歳を迎えたでしょう? だからおばあ様が、ニーナの大きくなった姿を一目見たいと言い出してね」
「そう……」
母の話ではどうやら、祖母はもう長くは無いだろうという事が一つ。
加えて長い時間が流れたことで、二人の間にあった昔のしがらみも今は和らいできているのかもしれない。
「だから、この差し入れをおばあ様に。それから、ニーナだけでも会いに行ってあげて欲しいの」
自分には抜けられない仕事があるから、と。
母はニーナにバスケットの中身を託した。
「はい、これがその差し入れよ」
そう言って母から手渡されたのは、ジュースが入ったビンやパンにチーズ、果物といったような色々な食べ物が詰め込まれたバスケット。
その上に布が被せられ、次いで祖母への手紙だと封筒もそっと添えられた。