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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
「へぇ…? 森の奥へかい?」
始めはニコニコと話しかけてきたご近所の奥さんだったのだが、ニーナの返答に表情を僅かに歪める。
しかしながら、先を急ぐニーナはその微細な表情の変化に気づくことは無かった。
「あまり遅くなると日が暮れてしまうので、私は行きますね」
「あ、ああ……気をつけて」
「はい!」
それ以後、二、三人ほど近所の村人から話しかけられたニーナだったが、先を急ぐ様子に皆一様に微妙な表情を浮かべながらも何も口にはしなかった。
……だが、ニーナの背中が遠ざかるのを見ながら
「……確かに森の奥に小さな小屋はあったが、あそこは空き家じゃなかったかね? なあ? あんた」
「ん、あ、あぁ……」
そう、何よりもあの恐ろしい“化け物”が住む森なのだ。
村人どころか、誰もあの森には近づきはしない。
だからそもそも、人が住んでいるはずが無いのだが……。
「大丈夫かねぇ……」
バスケットを手に去っていくニーナの背中を、村人達は心配そうに見送っていた。
◆ ◆ ◆
――…一方、母親はと言うと。