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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
 

ドンドン!


「おい! いるんだろ?!」


村の中では外れにある赤い屋根の家。

その扉の前に、がっしりとした体つきの荒くれた男三人が立っていた。


「……来たわね」


テーブルに腰掛け、覚悟を決めた母親はそこから逃げ出そうとはしなかった。

そんな状況だというのに、酒の酔いに潰れた不甲斐ない夫は寝室で眠りこけている。

だが、こんな日常も今日。

終わりを告げるのだ。

約束の晩は昨日。

しかし、母親は敢えてあの宿へ向かわなかった。

やはり可愛い娘を奴等に差し出すことなど出来なかったのだ。


「どうか、無事で……」


瞼の裏に娘の姿を思い浮かべ、祈るように額に組んだ手を当てる。

危険な森へ娘を逃がすのには勿論迷いもあった。

が……人が寄り付かない森だからこそ、確実に隠すことが出来ると母親は考えたのだ。


「入るぞ!? おい!!」


そんなことを考えていた最中。

とうとう男達が強行手段に出る。

 
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