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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
「なんだとはご挨拶だなぁ? 旦那さんよ?」
今さらのご登場か。
くるりと中心の男が振り返り、ニーナの父親でもある夫を嘲笑う。
「お前……一体、これはどういうことなんだ?」
「おやおや、旦那さんは奥さんがどんなことをしていたのか、ご存知無い?」
これは面白いと、一人の男は楽しげに笑みを深める。
そして、これまでに起きた事実を語って父親に聞かせた。
それを聞きながら、怒りとも悲しみともつかない複雑な表情で夫は妻へと目をやる。
「そんなことになっていたなんて……おまえ、どうして黙っていたんだ?」
「言えるはずが無いでしょう。あんな状態のあなたを見ていたら」
「……っ」
それは、そうだ。
仕事を突然失い、自棄に走った己は酒に溺れた。
そのせいで、いつしか妻や娘のことなど頭から抜け落ちていた。
結果、こんな悲劇を招いてしまったのである。
紛れもなく、自分のせいだ。
「……すまない、私は……今まで何を……」
ここに来て、ようやく目が覚めた。
しかし、時は既に遅し。
「この男も連れていけ! 女と比べたら使い道はあまり無いだろうが、何がしかあるだろう」