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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
中心にいる男の指示に、控えていたもう一人が夫の元へと向かう。
もう、本当に全てが終わりなのだ……と、二人は自分の運命を察していた。
その時であった。
――ガシャン!!
「?! な、なんだ?!」
男達の背後にある窓ガラスが割れ、人影らしきものが飛び込んでくる。
そして男達の前に立ち塞がるように“それ”は降り立った。
「……その二人を離せ」
「な…………お、お前、一体なんなんだ」
目の前の人物を指差し、突如として現れた者を男は逆光越しに観察する。
肩に掛かるほどの銀の髪に、辛うじて肌を覆い隠しているボロボロの衣服の青年。
何よりも一番印象的なのは、燃え盛る炎のような光を放つ赤い瞳。
その相貌が男を捉え、睨み付けていた。
「ハッ……なんだ、何かと思えばただの若い兄ちゃんじゃねえか。おい兄ちゃん、どんな了見でここへ来たのかは知らねえが、俺達の邪魔をするならただじゃ済まねえぞ?」
「……それはこっちのセリフだ」
ガルルルル……ッ。
およそ人間のものとは思えない、獣のような唸り声。
拳を腰に構えた青年が、ゆっくりとした足取りで更に近づいてくる。
逆光で隠れていた姿が徐々に彼らの前にさらけ出された。