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~大人のための官能童話集~
第1章 序幕‥赤ずきんちゃん
茂みから人影のようなものが飛び出し、ニーナを抱き留めようとしたが……支えきれず地面の上に倒れこむ。
ドサッ…!
――――――……
(あれ…?)
「………………痛く…ない?」
衝撃を覚悟して、咄嗟に目を閉じていたニーナだったが。
予想していた痛みは一向に訪れず、恐る恐る目を開ける。
「!!」
そこには、目を見張る光景があった。
年の頃はニーナより、二つ三つは歳上だろうか。
木漏れ日に透ける銀の髪に、前髪から覗くルビーのような真っ赤な瞳。
スッと通った鼻筋に薄い唇からは犬歯が僅かに覗く、整った造形。
……にも関わらず、頭からひょっこりと生えた犬のような耳が何ともアンバランスだ。
「……おい、怪我はないか?」
「! あ、う、うん…」
「それなら退いてくれないか。このままじゃ、立ち上がれない」
「あ……」
言われて見てみれば……少年は自分を庇ってくれたらしく、真下に彼の体があった。