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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
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ドスッ!!
「ぐあっ…!?」
鳩尾に拳が打ち込まれ、鈍い音と共に男が倒れ伏す。
まさに一撃必殺と言わんばかりの俊敏さで男達を叩きのめし、青年の周りには気絶した男三人の屍が転がっていた。
「これでもう、大丈夫だろう……」
周りを見渡し、男達が起きる気配が無いのを確認すると青年は素早く踵を返す。
息ひとつ乱さず、冷静に現状を見据えながら足早に窓へと再び向かう青年の背中。
そのまま青年が窓から飛び降りようとした矢先。
「ま、待ってちょうだい!」
「……なんだ」
未だ意気消沈する夫を横に、ふと我に返った母親は慌てて去ろうとする背中を呼び止める。
窓枠に足を掛けていた青年は読めない無表情ではあったが、首だけを後ろに向けて母親に視線をやった。
「……どうして、私達を助けてくれたの?」
単純な疑問が母親の口をついて出る。
恩を返されるどころか、むしろ疎ましい存在として自分達は彼の存在を毛嫌っていたのだ。
恨まれこそすれ、助けられる覚えは無かった。