この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
 

「…………」


青年は答えない。

そのまま沈黙の時間だけが流れ、母親はじっと青年の反応を待っていた。

そんな母親の様子を見て取った青年は、ぽつりと一言。


「……ニーナが悲しむと思ったから。理由はそれだけだ」

「あ……」


言葉少なにそれだけを伝えると、今度こそ青年は窓枠を飛び越えて姿を消した。

タッタッタッ……

微かに聞こえる足音は、どうやら森の方面へと向かっているようだ。


(もしかして、ニーナを……?)


暗い地の底まで落ちていた希望が、母親の中で浮上してくる。

我ながら浅ましいと母親は自らを嘲笑しながらも、願わずにはいられない。


「ニーナ……」


大切に育ててきた、たった一人の娘。

出来うるならば傷つかず、無事に帰ってきて欲しい。

もう一度娘の笑顔を、この目で見たい。

母親は切実に娘の無事を願った。







 ◆ ◆ ◆


「はぁ…はぁ…はあ…っ」


走って、走って、とにかく走る。

歩き慣れた道なき道を、鬱蒼と生い茂る森の中を。

青年はただひたすらに駆けていた。

 
/69ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ