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~大人のための官能童話集~
第4章 三幕‥赤ずきんちゃん◆
トットッ……
靴音を鳴らしながら、ベッドの真横手前で足を止める。
しかし、ニーナはその気配の持ち主を確かめようにも……まだ薬の効果が切れていない体ではまともに動けない。
それでも少しずつ効果は薄れているらしく、僅かに動く腕で上半身を起こそうとしたのだが――
「……あなたは、だれ……あっ!?」
僅かな力ではやはり支えきれず、均衡(きんこう)を崩したニーナの身体は吸い込まれるようにベッドから床へと落ちていく。
そのまま、床に打ち付けるだろうと予想していた間際。
「! 危ないっ! ニーナ!!」
(え……?)
不意に呼ばれた自分の名に、ニーナは驚く。
そしてニーナの下へ滑り込んでくる、人影。
全身を力強く、暖かく包み込んでくれるがっしりとした腕。
(あ……この感じって……)
スローモーションのように床へと落ちていく最中。
誰かの腕に包まれながらニーナは覚えのある既視感に、ドキドキと胸を高鳴らせていた。