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~大人のための官能童話集~
第4章 三幕‥赤ずきんちゃん◆
 

あの後、何度か彼に会おうとニーナは森に向かおうとした。

けれどその度、娘を心配した母に留められたのだ。


“あの森に住む者は化け物だ。だから、二度と近づいてはならない”――と。


母だけでなく、村の者であれば誰しもが同じようなことを口にしてニーナを絶対に森へ行かせようとはしなかった。

そうしていつしか、幼かったニーナは森へ行くのを諦め、記憶からシルヴァの存在もだんだんと薄れていった。


「……ごめんなさい」

「? 何故、謝る?」


今度は謝罪がニーナの口から出て、シルヴァは首を傾げる。

幼い頃の記憶を思い出すと同時に、ニーナは彼と交わした大切な約束も思い出したからであった。


「……だって、私は必ずシルヴァに会いに行くと約束したのに。結局今の今まで、貴方のことを忘れてさえいたんだもの」

「……あぁ。そういえば、そうだったな」


フッ…と目元を和らげ、シルヴァは優しくニーナを見つめる。


「それは仕方ないさ、俺は化け物として村人からは恐れられていたからな。むしろ、もう二度と会えなくて当たり前だと思っていた」

「……そんな」


彼が一体何をしたというのか。

見た目だけで決めつけられた理不尽な理由に、ニーナは胸を痛める。

その様子を見つめていたシルヴァは“だが”と続けて、言葉を付け加えた。

 
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