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~大人のための官能童話集~
第5章 四幕‥赤ずきんちゃん◆
 

(シルヴァには気づかれたくなかったのに……)


助けてもらった上に、これ以上の余計な心配など掛けたくは無かった。

だから、出来うる限り黙っていようとニーナは体の熱が落ち着くのを待っていたのだが……

どうやらこの短い時間で、我慢出来ないくらいまで全身の火照りが増している。


高ぶる熱を鎮めて欲しくて。

肌に直接触れて欲しくて。

……堪らない。


「はぁ…はぁ…シルヴァ……」


自分ではどうすればいいのか、分からなくて。

――結果、目の前に居るシルヴァにニーナはすがってしまう。


(これは……ただの風邪などではないな)


かといって、病気でもないだろう。

そうしてニーナを冷静に観察しながらも、ここまで彼女を追い詰めたであろう犯人の奴等を思い浮かべて、シルヴァは憤然と歯ぎしりする。

人間界の知識は、人間であった母が亡くなる前に残してくれた様々な書物で、ある程度は理解している。

その中で、人間が作った薬は病を治療するのに用いる反面で、今のようにニーナを苦しめる作用の薬もあるのだと。

シルヴァは予め知っていた。


(だが……穢れた存在である俺が触れる訳には)

 
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