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~大人のための官能童話集~
第5章 四幕‥赤ずきんちゃん◆
迷いが、シルヴァの行動を躊躇させる。
だがこの類いの薬は、欲求を満たしてやらないといつまで経ってもその本人は苦しいままだ。
「シ…ルヴァ……」
「……っ」
涙で潤ませた瞳で上目遣いに見つめられて、ごくりとシルヴァの喉が鳴る。
理性と本能が、シルヴァの内でせめぎ合う。
「ねえ……シルヴァ、苦しいの……お願い。たすけ……て」
全身を包む媚薬の疼きに朦朧としながら、ニーナはシルヴァへと両手を伸ばす。
それが、トドメだった。
シルヴァの中でぐらぐらと不安定に揺れていた理性と本能が傾く。決壊する。
そして――――…
「……分かった。ニーナが、それで楽になるなら」
伸ばされた両手を取り、腰を抱くようにしてシルヴァはニーナの華奢な身体を引き寄せる。
汗で張り付いた前髪を掻き分け、額に軽く口づけた。
「……ニーナ」
「あっ……んん」
耳元で囁かれてピクリ、とニーナの体が小さく震える。
次に瞼、こめかみ、頬……と唇を下へと滑らせるようにして、シルヴァは優しく何度も口づける。
最後に顎を軽く持ち上げ、ニーナの唇に重ねる直前でことさら甘く囁いた。
「……お前が満足するまで、気持ちよくしてやる」