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~大人のための官能童話集~
第1章 序幕‥赤ずきんちゃん
「どうした? 迎えに来てくれたんだろ? 早く行け」
「うん……でも、その前にあなたの名前――」
ガサッ!
「ニーナ! あぁ……無事だったのね!」
「お母さん…!」
茂みを掻き分け現れたのは、ニーナが待ち焦がれていた母の姿。
娘の姿を見つけるや否や、母は宝物に等しい小さな体をギュッと抱き締める。
「私がちょっと目を離した隙にこんなところまで……全く、本当に心配したのよ」
「ごめんなさい……」
「いいのよ、ニーナが無事なら」
涙目で謝る娘の姿を微笑ましく見つめながら、ふと娘の背後にある人影らしきものに母は気付く。
「あら? そちらの方は――…」
「!」
母が目線を上げたことで、少年と目が合う。
いや、少年かと思ったが……彼の頭上を見上げて母親は青ざめる。
「お前は……っ!」
「? お母さ…ん?」
恐怖に脅えた眼差しに、ガタガタと震え出す。
どこか尋常ではない母親の様子にニーナは小首を傾げる。
母親は気づいたのだ。